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其レハ何也カ 「祭」

Posted by 葉丸李音 on 04.2010 其レハ何也カ 0 comments 0 trackback
鈴音がシャリン・シャリンと響く。
其の音は室内から、室外から、屋外から音連れ聞こえ来遣る。

――シャリン・シャリン

屋外からは祭囃子も聞こえて来遣り、隣人の者共の喧騒も聞こえて来遣る。
喧騒は屋内の鈴音を掻き消す様にして聞こえて来遣る。

「其れでは、長男」

呼ばれ、両拳を地に突きて、体勢を維持した儘に身体を滑らせる。
滑らせた後、御前まで至りて手を合わせ深々と礼を慎む。
泣いては為らぬと仰せつかったにも関わらず、眼からは涙が込み上げて遣り、止まぬ。
在の大きな手は、もう私の頭に触れる事は無いのだと想うほど、強く込み上げる。

――シャリン・シャリン

室内で強く鈴音が鳴り、私を制す。
双眸を開き、頭を上げた。

 ◆

――シャリン・シャリン

鈴音が祭囃子の調子に合わせ、栄と鳴り響く。
其の鈴音に背を押される様に、人々は活気在る聲(こえ)を上げる。
祭男は太鼓を叩き、祭女は笛を奏でた。

――シャリン・シャリン

より一層に音は強く為って往き、村全体が軈(やが)て音と云う音に包まれる。
奏でる者は奏で、踊る者は踊り、騒ぐ者は騒いだ。
其処に居る者は全て、笑みを抱えた仮面を身に着けて居た為に、表情は定かではない。
唯々、狂った様に聲を上げていた。

 ◆

祭司が台と共に二本の細長い鉄の棒を持って遣って来る。
祭司が御前に戻る事を確認した後、其の二本の棒を手に取る。


――シャリン・シャリン

御前に、許しを請う為に其れを両の掌で高々と掲げる。
一度、二度其れを繰り返した後に其の棒を台に戻し、頭を垂れ元居た場所へと還る。
後ろは振り返らない。

――シャリン・シャリン

呼ばれ、振り返る。
ふと、後ろを見遣ると、弟と妹が此方を見て居た。
私が強く頷くと、彼等も同じ様に頷く。

御前の両隣に私と彼等が並び、皆揃って棒を手に遣る。
そして皆揃って許しを請うた。

――シャリン・シャリン

そして、私達は、口に――其れを運んだ。
順繰り、順繰りに何か謂う訳で無く唯々其の動作を繰り返す。

――シャリン・シャリン
――シャリン・シャリン・シャリン
――シャリン・シャリン・シャリン・シャリン

何度と無く鈴音が繰り返される。
幾度と無く口に其れを運ぶ。

――シャリン・シャリン
――シャリン・シャリン・シャリン
――シャリン・シャリン・シャリン・シャリン

――シャリン

そして、私達は彼となった。

<嗚呼、此レハ何也ヤ>


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其レハ何也カ 「宝箱」

Posted by 葉丸李音 on 01.2010 其レハ何也カ 2 comments 0 trackback
宝箱を台座に括り付け、刃を腹部に宛がう。
其れは何かを喚くが猿轡を介しているが為に、何を言っているか分からない。
呻く声が何とも気持ち悪い。
刃を腹に突き刺し、”の”の字を描く。
その軌跡からは、赤色の花弁をが芽吹き、食むて往く。

喚く。
呻く。
喚く。喚く。
呻く。呻く。

何をそんなに喚くのか。
何をそんなに呻くのか。

気にせずに手を動かす。
綺麗な花が咲く。

部屋中に音波が反響して、私の体を蝕む。
花はその白い肢体を食むて往く。

甲高く怪魂(けたたまし)い音が耳に響くのが、癪に、癇に、響く。
その甲高い音を無視して、肢体の手に手を掛ける。

紅く煌びやかに輝る宝石。
一つ、一つ、選定を繰り返す。
大事なものだから。大切なものだから。

私の手が刳り拡げられた宝箱に触れる度に四肢が暴れる。
特にその末端。

ピクピクと。

綺麗な手をしていた。
綺麗な爪をしていた。

爪の間に刃を入れ込み、自らの手で持ち上がった爪を引っ張る。
パキンと小気味の良い音を鳴らしてその美しく艶かしい爪が外れる。
それをその綺麗な手に丁寧に。
丁寧に丁寧に丁寧に美しく見えるように刺して往く。

甲高く怪魂い音が耳を劈(つんざ)く。
何処から聞こえて来るのか解せず、恨めしい。

其れは一層強く喚く。呻く。
何をそんなに喚くのか。
何をそんなに呻くのか。

其れの双眸が私の相貌(そうぼう)を伺ってくる。
背筋に狂惜しい焔が奔る。

髪を掴み、相貌を覗く双眸を狂わせる。
刃を逆手に持ち、双眸が相貌を見れないよう、丁寧に、丁寧に穿つ。
穿ちて、穿ちて、双眸は形を虚(な)くして往く。

焔は軈(やが)て収まり、私も平静を取り戻す。
しかし、気に障る甲高い音は止まない。
止まない。
その音は何処から遣って来るのか。

宝箱
唯々、甲高く怪魂い音が響いていた。
其の音だけが、響いていた。

<嗚呼、此レハ何也ヤ>


其レハ何也カ 「偶零」

Posted by 葉丸李音 on 10.2009 其レハ何也カ 2 comments 0 trackback
グゥ・パァ
グゥ・パァ

――縮めては、広げる
――其の能動は忌如(いみし)くも蜿蜒(えんえん)奄々(えんえん)と繰返される

グゥ・パァ
グゥ・パァ

「事の如何、程は幾許か」
「ええ」

――人が悪く、我は応じる外一寸も(ぎょ)せず

グゥ・パァ
グゥ・パァ

――唯、唯
――其の繰返しが反復し続ける

――時折、(えら)く速く
――程無く、瞬く間止まりおる

「止む事、至極如何(なが)ら赦されん」
「然し、如何程まで」
「其れは(かく)も判らん 然ればこそ我等は止む迄繰返すのみよ」
「其れは七難(しちなん) 或いは上々か」

グゥ・パァ

懽楽殻空(かんらからから)朽々(くつくつ) ”上々”と申すか」
「他に在るまいて 為らば何と(そう)す」
「上々、上々――上々、か 朽々」
「可也か 懽楽殻空・朽々」

――朽々と咽喉(のど)を穿ち(わら)
――その咲い声が何処からか言魂(こだま)し、(やが)て静かに為る

――そして程無く、忌如くも繰返される難在り

グゥ・パァ
偶・零

<嗚呼、此レハ何也ヤ>


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